音楽と治療、ワインと体
術後一年と三ヶ月。
休日は横たわっていることが多い。
名を変え、戸籍の性別を変える。
この半年、夜眠る前の音楽はワーグナーのオペラ(歌劇)が多い。
大抵、『パルジファル』か『ニュルンベルクのマイスタージンガー 第三幕』。
9年前、治療に先立ち飲酒をやめた。
それまでは毎晩赤ワインを飲んでいた。
治療が始まり、アルコールに弱くなった。
どうしたわけか近頃赤ワインのボトルをみると心が揺れる。
飲んだら負けだと思う。
音楽の再生装置が少し良くなったのがきっかけでクラッシックを聴くようになった。
装置の性能があがるにつれ、交響曲の魅力がわかってきた。
部屋にいるときは、ほとんどの時間音楽を流す。
耳にする音が気持ちいい、毎晩名残り惜しい気持ちでスィッチを切る。