声
まだまだ普通に話せない。首を絞められた状態がずっと続いている感じで、かなり慣れてきたけれど。
食事中の会話が最も難しい。喉の筋肉の関係なのか、絞り出すようにして、ようやくかすれた声が漏れる。
今月定期検査で京都へ行く。手術費用は安く済んだけれど交通費が大変。混雑が苦手だから日帰りで行って帰ろう。
発声が安定しているときは手術してよかったと思う。以前は低い側に声が抜けないか不安が消えなかった。いつも緊張していた。
手術前、声の周波数を測定したところ、十分な高さと安定感があった。
執刀医は ”(手術する)必要ないじゃないか” と言った。
その数カ月前の事前の検査では、他の医師から同様な指摘を受けた。
随分と努力して身につけた声だった。
けれど気を抜くと底に抜ける(低音が出る)のが怖かった。
目一杯低い声を出そうとしても、今はもう機能的に出ない。やるべき事をやり終えた夜、開放的な気持ちでゆっくり眠るような気分で声を出せる。
かつて泣き続けた夜、声が追い打ちをかけた。決して消せない烙印のようだった。
そんなこんなで私は自分の声を捨てた。
顔の整形のことばかり考えていた時期もあった。
今は顔の整形はしないで終えようと考えている。
魅力的な着こなしに専念しよう。