慣れた新しい街
先月上旬に引越作業を終え、その後の各種変更手続きもほぼ完了した。
あとは銀行くらい。
4月に直近の地域へ引っ越したが、6月にはもう次の引っ越し場所を探し始め、8月に今の場所に引っ越した。
今の場所は、3月まで住んでいた街の近く。
またあの街に戻れるんだと、一連の作業や手続きを終える日を指折り数えていた。
建物だけではなく、住む街にも相性があるのだろう。
4月から8月まで住んでいた場所に居ると、だんだんと辛くなり、枯れていくように感じられた。
新しい場所は快適で、引っ越して良かった。
部屋の造りや間取りがとても良いし、各所へのアクセスも良い。
ここに来るためにそれまでの苦難があったんだと考えるようにしている。
身だしなみにも気を付けられるようになり、これも嬉しい。
声の手術をしてもう7カ月経つ。ようやく発声の仕方がわかってきた。周波数は200㎐を下回ることがないため気分的にとても楽だ。
私は身体を変え、名を変え、性別を変え、声を変えた。
この間多くのものを失い得た。
けれど仕事は変わらず、寄り添ってくれる唯一の身内のようだった。
専門的な職種で業務を遂行し、トランスし、料理とファッションに気を配ってきた。
業務上では複数の論文を執筆したが、個人として関係する学会へ論文を投稿したいという気持ちを十数年来持ち続け、未だ一つもできていない。
仕事人としては十分貢献したから、これはもう切り離し、心休まる世界に触れていこう。