夏
今年は特に仕事が忙しく、まとまった休みが取れない。
お昼に歯医者へ。
今の場所に来て2年半ほどが過ぎ、あと半年以内に引っ越さなければならない。
その前も2年半ほどで、今の場所に移った。
身軽でいることをよく考えるようになった、何か買い物するときも一人で運べるか、とか。
音楽を流さず眠れるようになり、数年が過ぎた。
時計の秒針の音と同じか小さいくらいになるよう音量を合わせ、幾年も過ごした。
ネットで見る故郷は懐かしい、けれどもう戻れないのは昔からわかっている。
あれは8歳の頃だった、眠りに入る消灯の後、旅して暮らしていくことをよく考えた。
お城での生活とそれは、好んで夢想したことだった。
旅先のホテルで目覚め、病院のベッドで目覚め、部屋で目覚める。
どこにいても旅の途中なんだと、今は、はっきりわかる。
8月の光がもうすぐ終わる。