声の彩り
数日前に金沢に日帰りした、突然の用で、文字通りの急用で。
新幹線が開通しているので考えていたよりずっと行きやすかった。
予定を果たし帰宅し、勤務を続けている。
体がある場所が自分の居る場所。
車中で川端康成の記録を読んだ。その関連で三島由紀夫の記述があった。
三島による文学作品評は、批評眼と批評の文章力いずれもが突出しており圧巻だった。
興味を持ち三島についての記録を読み、三島事件と呼ばれる一連の出来事を知った。およそについては知っているつもりでいたが、整理された記録を読みとても驚いた。
戦後このような事件が起こっていたのか。
タルコフスキーの映画『ノスタルジア』では、広場の彫刻の上で演説する男を描いている。
ヴェンダースの映画『パリ、テキサス』では、高速道路の高架道上で演説する男を描いている。
いずれも声をあげ、悲痛な思いが声と共に震えている。
危惧、焦り、救済への呼びかけ・・・。
三島の演説する姿が混ざる。
いずれの監督も三島からヒントを得たのではないか。
事件に関するコメントはどれも白々しく俗っぽく思えた。
経緯如何に関わらず自己宣伝することをやめられない者の多さにあきれ、それこそが彼を死に追い向けた汚れのように思えた。