近況
年内は仕事が忙しい。
先月は毎日のように執筆を続けた。
何万文字を書いたろう。
今月は移動や撮影や、その他作業が予定されている。
ここ数年の安息を思えば今年一杯の状況は受け入れるべきだろう。
この場所は懐かしい。
タイから帰国してすぐ開設し、現地の写真や記録が残っている。
大きな転換だったと数年を経て思う。
当時はただ嬉しいばかりだった。
日に何度も良かったと、今もかみしめるようにそう思う。
心地よい空間に身を置き、おいしいお茶の時間を過ごす。
かつて経験した各地の空が、光が、時間がこだまする。
まるで時の旅人のようだ。
9月がまたやってきた。
夏
今年は特に仕事が忙しく、まとまった休みが取れない。
お昼に歯医者へ。
今の場所に来て2年半ほどが過ぎ、あと半年以内に引っ越さなければならない。
その前も2年半ほどで、今の場所に移った。
身軽でいることをよく考えるようになった、何か買い物するときも一人で運べるか、とか。
音楽を流さず眠れるようになり、数年が過ぎた。
時計の秒針の音と同じか小さいくらいになるよう音量を合わせ、幾年も過ごした。
ネットで見る故郷は懐かしい、けれどもう戻れないのは昔からわかっている。
あれは8歳の頃だった、眠りに入る消灯の後、旅して暮らしていくことをよく考えた。
お城での生活とそれは、好んで夢想したことだった。
旅先のホテルで目覚め、病院のベッドで目覚め、部屋で目覚める。
どこにいても旅の途中なんだと、今は、はっきりわかる。
8月の光がもうすぐ終わる。
風のように過ぎていく
一年以上経過した。
冬に救急車で運ばれ入院した。
摘出手術を受けて退院。
翌週には仕事で大量の撮影を行い、5月の連休が終わるころまで強い疲労が続いた。
今年は仕事が忙しく、それは喜ぶべきことで感謝もしている。
体がついていかない感じが強い。
何をしてもしなくても風は吹く。
シェイクスピアに「風は毎日、吹くものさ」という一節があり時折思い出す。
なるべく後悔のないように、少ないように生きていこう。
去年の夏は長く暑かった。
いつも秋はつかまえられず、去年は秋を過ごすことができた。
救急車で運ばれ検査して、そのまま全身麻酔の手術だった。
まだ自分には命があり、春を迎え、暑い夏が終わろうとしている。
ここまでこれたのが嬉しい。
風は毎日、吹くものさ。
近況
イタリア調査(旅行)の記事を少しずつ載せていこうと考えていたけれど、ほとんど更新することなく過ぎてきた。
書き残したいことはいくつもある、なかなか文章にならない。
イタリアの男性は総じて落ち着きがあり親切だった。丁寧に扱ってくれていると感じられた。よく声をかけられたが嫌な響きがなく、親しみを伴っていた。
毎日暑く戦いのような日々。
数日前友人の家に招かれランチとアフタヌーンティーを楽しんだ。彼女たちと知り合ってもう随分になる。お互いなかなか話せない事を話せる相手として尊重し合ってきた。
こちらの言葉の理由である、抱えている気持ちを理解し合えるのは幸せなことだ。
最近はネットラジオでクラシックやオペラを流している。放送局によっては320kbpsの充分な音質で配信している。自分の選曲ではないBGMは気安くていい。
今年は調理が充実している。
・羽釜と檜の釜蓋による直火炊飯
・ストウブの鍋
・タークのフライパン
・岩鋳の魚焼グリル用グリルパン
・イタリア産オリーブオイル
どれもよくできた道具、オリーブオイルは先のイタリア旅行で開眼した。以前から使用していたオイルより5倍くらいの単価だけどまったく味が違う、他を節約しても外せない調味料になった。
毎日2回料理しているからプライベートな時間に占める料理の割合は大きい。だからその道具や材料のことをよく考える。
安息な日々を過ごしている。
到着からヴェネチア
アリタリア航空の直行便で、ミラノの空港に到着して同地で宿泊、翌日にヴェネチアを訪ねた。
機内食を期待していたけれど、前回のANAが特別良かったのだろう。
また機内では、オペラ『ロメオとジュリエット』全幕と、2014年のバイロイト音楽祭、『ニーベルングの指輪』を、「ラインの黄金」、「ワルキューレ」全幕と、「ジークフリート」第2幕まで聴いた。
ヴェネチアは思春期~成人となる頃まで、茫漠とした憧れを抱いており、訪れることができたのは嬉しかった。
観光地としての物価の高さが 、景観以上に街の印象を左右しているように思え、緊張感をもたらしているようだった。
ここに限らず、著名な場所は似たような傾向だった。
それでも魅力が勝っている。
車が走っていない唯一の都市だそう。
そのせいか、路地に入ると静寂を得られる。
澄んだ光と影、石造りの建物の質感、水の気配と街の音が調和する、美しい街だった。