掌から零れる水
体が衰えている。
投薬のせい、年齢のせい。
わかってはいたこと。
生まれつき丈夫ではなく、日中のフルタイム勤務は自分には無理なことだと中学生の頃には予感があった。
今日までよく続けてきた。
段々と外出が減り休日はほとんど横になって過ごすようになった。
横になって目を閉じても音楽は聞き取れる。音楽はいいなぁと思う。
見たいものは見た、聴きたいものは聴いた、行きたい場所にも行った。
再生される響きに気持ちを向けながら、随分と恵まれていたなと思う。
業務上の技術を向上することに注力してきた。
PCの操作、専門的技能、時間短縮、品質向上。
もう続けなくていい、周囲には邪魔な存在になってしまう、仇となる。
掌から零れる水のように授かった時が過ぎていく。